独り言 損傷した脳がときには機能を取り戻すことがある。
脳の機能の代償が起こるためにはいくつかの条件がある。 まず、損傷を受けた脳が発達過程の未熟な脳であること。次に、損傷が大脳半球のどちらかに限られていてしかもも大きいとき、損傷を受けなかった側の大脳半球の機能代償につながる。 大脳半球が反対側の機能を代償できる年齢は、男性で五-六歳、女性では十二-十三歳だという。また、脳に対する環境刺激の効果も女性が高いという。 ある程度年をとったあとの脳損傷は、極めて治りにくいといわれている。たしかに子供の脳に比べてその回復力は非常に遅く、また、回復などまったく望めないように見える場合も多い。 しかし最近の研究では、亡くなった老人の脳のニューロンの突起の広がり具合を見ると、ニューロンの数は減少しているものの、残されたニューロンから出ている突起は、若い人を上回るものも見られるという。また、老人のニューロンに神経栄養因子を与えて培養すると、突起を伸ばしていく様子も観察されている。 これは、脳がたとえ老化しても、残されたニューロンの突起が作るネットワークを豊かにすることで、脳の機能を高めていくことができることを示している。 脳が機能を回復するときにはいくつか...
